【会報78】「キリストへの時間」放送開始 70 周年
「キリストへの時間」は、米国南長老教会のラジオ 伝道事業として始まりました。第 1 回放送は、民放 第一聲をあげた中部日本放送 ( CBCラジオ ) が開局 した翌年、1952 年 10 月 27 日のことでした。です から、2022 年 10 月は、「キリストへの時間」の放送 が始まって 70 年を迎えることになります。CBCの 当日放送記録によれば、放送時間は 8 時 30 分から 9 時まで、番組名は「キリストへの道」、説教者は米国 南長老教会マカルピンとなっています。当初は月一度 の放送でしたが、翌年「キリストへの時間」と改称し、 毎週 15 分間の放送となります。説教はマカルピン宣 教師が懇意にした日本基督改革派教会と日本基督教団 の牧師が担当するようになりました。
日本で 100 年の歴史を超える教会は珍しくはあり ませんので、70 年続いていると聞いて驚く人は少な いかもしれません。けれども 70 年といえば、おお よそ 3 世代です。その間に時代は大きく動きました。 放送が開始された 1952 年といえば、講和条約が発効 され戦後が始まった年です。真空管ラジオからトラン ジスタラジオの時代となり、ラジオは身近なものとな りました。ところが第2世代になると、娯楽の中心は ラジオからテレビに移りました。第 3 世代は、Web メディア、ソーシャルメディアで情報を取得していま す。ラジオ伝道の意義がどこまであるのかが問われています。
すでに 1975 年頃、米国ミッションより協力関係は 続けるが、放送の運営を自給独立することが求められました。「キリストへの時間」協力委員会は、「資金提 供を前提に始めた事業だから、打ち切ってもよいので はないか」、「しかし、ここまでやってきたラジオ伝道 をやめてしまうのは残念」という二つの意見に分かれました。ミッションからの資金援助が途絶えた後も、 協力委員会は続けていく努力をしました。最盛期には 8局あった放送拠点をCBC1局に絞ることにしまし た。「キリストへの時間」協力委員会報を発行して広 く献金を募ったり、キリスト教学校に協力支援を求め たりしました。ひとえに、ラジオ伝道を神のミッショ ンととらえたからです。その後も財政面での苦労は続 きましたが、ピンチのときには大きな助けが与えられ ました。聖霊なる神が、放送 70 年の歴史を導いてく ださいました。
「キリストへの時間」のこれからですが、今年 10 月の5回の放送は、放送開始 70 周年記念として、「キ リストへの時間」協力委員会を組織する日本キリスト 改革派教会、日本基督教団、金城学院、名古屋学院、 岐阜済美学院の代表が、一週ずつ放送を担当すること になっています。放送の後枠で、番組の礎となった「ア メリカ長老教会」を紹介に加えていましたが、献金自 体が途絶えていますので、70 周年の放送を機にアナ ウンスしないことを決定しました。今はRCJメディ ア・ミニストリーとの協力関係を模索しています。ソ リストによる新しい讃美歌も加えられると聞いていま す。放送をアピールする新しいポスターや Web サイ トも計画中のようです。ラジオは今、災害時の強さ など存在意義が見直されてきています。コロナで礼 拝に行けない時に、「キリストへの時間で礼拝を守り ました」という声が聞こえてきたことは喜びでした。 PC やスマホで聴ける radiko(ラジコ)の登場により、 番組の聴取者が広がっています。70 年を迎える「キ リストへの時間」に新たな可能性が生まれていること を感謝しています。